志望理由書における「大学でしたいこと」の書き方と準備
この動画で分かること
本資料は、志望理由書作成において最も重要かつ難易度が高い「大学でしたいこと(研究したいこと)」の記述方法と、そのための事前準備プロセスを整理したものです。大学が教育基本法により「真理を探求する場所・研究機関」と定義されている点に注目し、単なる知識の受容ではなく、根源的な問いに対する仮説立案と検証姿勢を示す必要性を解説します。
具体的には、志望理由書の4要素(志望動機、きっかけ、高校時代の学問的取り組み、将来の展望)のうち、「研究テーマの深掘り」「リサーチクエスチョン(RQ)」「仮説」の3点を明確にするための手法を提示します。また、先行研究との重複を避けるための「リサーチギャップ」の特定方法、データベースを活用した文献調査の手順、一次資料や原文の重視、そして適切な学習用書籍の選定基準について詳述します。これにより、抽象論に終始せず、解像度の高い具体的な記述を実現するための実践的な指針を得ることができます。
志望校比較の観点チェック表
志望校選びや研究計画の立案において、動画で示された視点を踏まえた比較検討のためのチェック表です。
| 観点 | この動画の示唆 | 自分の場合 |
|---|---|---|
| **研究テーマの独自性** | 先行研究で解決済みでないか確認し、リサーチギャップ(未知・未解決部分)を特定する。有力説がない、乱立している、または既存説への異議を唱える余地があるかを確認する。 | |
| **リサーチクエスチョン(RQ)** | 高校まで培った問題意識を、具体的な研究課題として言語化できているか。現段階での自分なりの答え(仮説)を持っているか。 | |
| **教員との適合性** | 志望学科の全教員(約10〜20名)の先行研究を批判的に検証し、自分のテーマと重なるか、指導を受けられるかを確認しているか。 | |
| **文献調査の深度** | 解説書だけでなく、一次資料(原著)や査読付き論文を読んでいるか。基本書や論文の参考文献を追跡し、学問領域の基礎固めをしているか。 | |
| **記述の具体性** | 抽象論を避け、具体的なエピソードや解像度の高い内容で記述しているか。文字数制限(800〜1000文字程度)の中で無駄を削ぎ落としているか。 |
出願準備チェック表
出願書類作成および面接準備に向けた、時系列と確認事項をまとめたチェック表です。
| 時期 | やること | 確認 |
|---|---|---|
| **基礎知識確認** | 高校の公共・倫理・理科などの教科書を再確認し、基礎的な知識不足による議論の重複や誤りを防ぐ。 | |
| **キーワード抽出** | 研究テーマから関連キーワードを抽出する。専門用語(例:ウィトゲンシュタインの「家族的類似性」など)は辞典やOED等で正確な定義を確認する。 | |
| **先行研究調査** | Google Scholar、CiNii、J-STAGE等で志望学科の全教員名を検索する。引用数が多い論文やテーマに合致する論文を優先して読む。 | |
| **文献入手** | 全文が見られない文献は国立国会図書館でコピーを取る(未成年は保護者経由で会員登録)。参考文献リストから基本書や著名な学術書を特定する。 | |
| **一次資料読解** | 解説書ではなく原著(一次資料)を読む。可能であれば日本語翻訳書と原書を対照する。著作権切れの古典は無料で原文閲覧を試みる。 | |
| **書籍選定** | 新書、入門書、基本書を選ぶ。該当書がない場合は「社会学の名著30」やアンソニー・ギデンズの『社会学』、ちくまプリマー新書、岩波新書等を参考にする。 | |
| **文献管理** | OneNote、EndNote、Scrapbox、デジタルメモ帳などで収集した文献を一元管理する。 | |
| **原稿作成** | 800〜1000文字(長いもので3000文字)を目安に、RQと仮説、リサーチギャップを明確に記述する。抽象論を排除し、具体性を高める。 |
よくある誤解と答え
**誤解1:大学での学びは、高校までの延長で既存の学説や常識を暗記・受容することである。**
**答え:** 大学は教育基本法により「真理を探求する場所・研究機関」と定義されています。小中高のような既存知識の受容ではなく、根源的な問い(例:空はなぜ青いか)に対して疑問をぶつけ、真理を探求する場所です。したがって、志望理由書では「何を学ぶか」だけでなく、「どのような問いを立て、どう探求するか」という研究姿勢を示す必要があります。
**誤解2:自分が良いと思った研究テーマは、そのまま志望理由書に書けば評価される。**
**答え:** 自分が良いと思ったリサーチクエスチョン(RQ)が、既に先行研究で解決されている場合があります。重要なのは、現在の学問において「未知」または「未解決」である部分(リサーチギャップ)を、基本書や論文を調べて根拠を持って示すことです。有力説がない、乱立している、あるいは既存の有力説に対して異議を唱える余地があるかを確認し、そのギャップを埋めるための4年間の取り組み姿勢を書く必要があります。
**誤解3:研究テーマに関する書籍は、読みやすい入門書や解説書だけで十分である。**
**答え:** 解説書や入門書だけでなく、原著(一次資料)を読むことが推奨されます。例えばニーチェを学ぶ場合、解説書ではなくニーチェ本人の著作(『ツァラトゥストラはかく語りき』など)を読むことが重要です。可能であれば日本語翻訳書と原書を対照して読むことで、より深い理解に至ります。経済的負担が大きい場合は翻訳書のみでも構いませんが、一次資料への接近が研究の質を高めます。
無料相談
志望理由書の構成やリサーチクエスチョンの設定、先行研究の調査方法など、個別の状況に応じた相談を受け付けています。
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