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文法は「説明されて」伸びる—明示的指導の根拠と限界|武蔵野個別指導塾
文法の説明は理解できるのに英文で迷うとき、確かめたいのは正答の理由です。短い例文を使い、説明を読む、意味を選ぶ、自分の文に直す手順で、家庭学習と個別指導の役割を整理できます。

文法は「説明されて」伸びる—明示的指導の根拠と限界
解説を閉じた途端に、手が止まるとき
よくあるのは、自習室の時計の下で、終了時刻を見てから文法の本をもう一度開き、「読めばわかるのに、問題になると選べない」とページを戻す場面です。説明には見覚えがあり、例文の日本語訳も理解できます。それでも、少し単語の違う英文に出合うと、覚えたはずの規則をどこに当てはめればよいのか迷います。
保護者から見ると、説明を十分に聞いていないように映るかもしれません。お子さま自身も「また最初から覚え直さないと」と考えがちです。けれども、まず確かめたいのは、説明の内容を言えるか、英文の中で手がかりを見つけられるか、その形を使って意味を伝えられるかという違いです。同じ「文法がわかる」でも、取り組む作業が異なります。
文法を言葉で説明する指導には、研究上の支えがあります。その支えを学習に生かすには、説明を聞くことと、その後に自分で判断することをつなげる必要があります。今使っている教科書とノートを使い、どこで迷ったかを確かめるところから始めましょう。

文法の説明が役立つ理由と、説明後に残る課題
明示的な文法指導とは、学ぶ規則や注目する形を、学習者が意識できるように扱う指導です。「この部分が主語です」と示したり、形が変わる条件を言葉で説明したりします。教師の長い講義だけを意味する言葉ではありません。短い問いを通じて学習者が規則を見つけ、その規則を言葉にする活動も、この考え方に沿って組み立てられます。
これに対して、規則を表立って説明せず、英文に接している中で学ぶように働きかける指導があります。英文を読む量を増やすことと、規則を説明することのどちらか一方だけを選ぶ必要はありません。説明で見る場所を定め、その場所に注意して英文を読み、意味を確かめるという組み合わせを考えられます。
文法指導を扱った41研究のメタ分析では、明示的な指導は暗示的な指導より大きな効果を示し、単純な文法項目にも複雑な文法項目にも効果が見られ、自発的な使用にも寄与しました(Spada・Tomita、2010)。メタ分析は、複数の研究結果をまとめて全体の傾向を調べる方法です。「説明すると文法問題だけが得意になる」と決めつけず、使う力とのつながりも考える根拠になります。
また、韓国の40研究をまとめたメタ分析でも、明示的な指導の効果は暗示的な指導より大きく、とくに文法と語彙の知識で差が示されました(Maeng、2020)。こちらは、言葉で規則や意味を確かめる指導を、知識を整える機会として位置づける支えになります。規則を教えること自体を古い学び方と考えて、説明をすべて省く必要はありません。
これらは41研究の統合と韓国の40研究の統合による知見で、研究の多くは英語以外を母語とする海外の学習者を対象としているため、日本の中高生一人ひとりに同じ伸び方を約束するものではありません。授業ではこの傾向を出発点としながら、説明後に何ができるようになったかを、お子さまの答案や言葉で確かめます。
たとえば、日本語の「毎朝歩く」と「昨日歩いた」は、同じ動作でも時間が違います。英文でも、動作を表す語だけ拾っていると、その違いを読み落とします。ここで「動詞の形と時間を示す語を一緒に見よう」と説明すれば、見る場所が定まります。説明の役割は、英文の中で何を手がかりに判断すればよいかを渡すことです。
ただ、見る場所を教わっても、自分でそこを探す作業は残ります。先生が線を引いた文を読むときと、何も印のない文を読むときでは、必要な判断が違います。前者だけを繰り返している場合には、説明を増やす前に、印のない短い文で手がかりを探す時間を設けます。つまずきに応じて練習を変えるためです。
説明の言葉が難しすぎる場合もあります。「時制」という用語を覚えていても、何を確かめる言葉なのか曖昧なら、「いつのことかを読む」と言い換えます。用語を正しく言うことと、英文の意味を正しく判断することを、いったん別々に確認します。どちらも必要ですが、用語の暗唱だけで理解を判定すると、次に必要な練習を見失います。
もう1つ見たいのは、正解に至るまでの助けです。訳を見て選べたのか、解説を見て直せたのか、何も見ずに選べたのかを分けます。同じ丸でも、次に取り組む課題は変わります。明示的指導を生かす学習では、「説明を受けたか」に加えて、「どの助けがあれば判断できるか」を記録すると、勉強の順番を決めやすくなります。
短い説明を、自分の判断につなげる学習手順
家庭では、教科書、授業で使った問題集、ノートを手元に置きます。新しい教材を増やす前に、今の教材から同じ規則を使う短い文を選びます。ここでは過去の出来事を例にしますが、疑問文や複数形でも、確認する規則を1つに絞る考え方は共通です。以下の時間は、取りかかりやすくするための区切りとして使ってください。
最初の3分では、今日確かめることを決めます。「過去形を全部復習する」より、「今の習慣と、終わった出来事を読み分ける」のように、最後に自分で確かめられる問いにします。教科書の説明を読み、問いに関係する箇所だけに印を付けます。例外まで一度に書き写さず、今日の例文に必要な条件をノートに短く残します。
ここで使う例文は、I walk to school every day. と I walked to school yesterday. です。どちらも学校まで歩く内容ですが、前者は毎日の習慣、後者は昨日の出来事を表します。まず日本語で違いを説明し、その後に動詞の形と時間を示す部分を探します。日本語訳をそのまま覚えるより、どの部分が意味の違いを支えているかを確かめます。
次の4分では、例文の意味を判断します。ノートに「いつものこと」「終わった出来事」と書き、英文がどちらに当たるか選びます。正答を見た後には、選んだ理由に使った語を指で示します。時間を示す語だけで決めたなら、動詞の形も見直します。形だけを言えたなら、その形からどんな時間の意味を読んだのかを言葉にします。
自分での確認は、「意味を選ぶ」「根拠を指す」「違う選択肢が合わない理由を言う」の3段階です。すべてを長い文章で書く必要はありません。「昨日のことだから」「動詞が過去の形だから」と短く言えれば、判断の筋道を確かめられます。説明できなかった箇所には、小さな疑問符を残します。答えを当てたことと、理由を確かめたことを区別する印です。
続く4分では、穴埋めの問題を少し使います。問題集の同じ単元から、単語の意味がわかるものを選んでください。英文を読み、伝えたい時間を先に決め、それから形を書きます。書いた後で解答を開き、「時間の判断」「形の選択」「つづり」のどこが一致したかを確かめます。全部をまとめて正解か不正解かにすると、戻る場所が曖昧になります。
間違えたときは、解答を横に写して終わりにせず、該当する説明の行に戻ります。時間を取り違えたなら例文の意味を読み直し、形を忘れたなら変化の仕方を確かめ、つづりだけなら必要な文字を見比べます。ノートの余白には「意味」「形」「つづり」のいずれかを書きます。ここまでが、解説を読む練習から、自分の間違いに説明を当てはめる練習への橋渡しです。
次の4分では、選択肢のない形で使います。教科書の例文から、すでに意味を知っている語を1か所だけ替えて、自分が言いたい短い文を作ります。たとえば I played tennis yesterday. と書くなら、先に「昨日テニスをした」という意味を決めます。活動の内容は、お子さま自身の経験でなくても構いません。大切なのは、決めた意味に合う形を自分で選ぶことです。
ここでは新しい単語をたくさん調べないようにします。単語選びに迷ったままだと、今回確かめたい文法の判断まで見えにくくなります。教科書の語を使い、短い文を完成させてください。自分の文を日本語に戻し、最初に決めた意味と合うかを確かめます。次に動詞の形を見て、説明した規則に沿っているかを調べます。意味と形を別々に点検する順番です。
最後の3分では、解説を閉じて、今日の規則を自分の言葉で説明します。「どんな意味を言いたいとき、どこを見るか」が入っていれば十分です。続けて、まだ解いていない短い問題を1つ選び、手がかりに印を付けてから答えます。覚えていた答えを書けるかではなく、新しい文で同じ判断ができるかを確かめる時間にします。
答え合わせの際には、最初の答えを消す前に、なぜ選んだかを余白に残してください。直した答えだけが並んでいると、後で見たときに何に迷っていたのか思い出せないことがあります。「昨日という語は見たが、動詞を変え忘れた」と残せば、次は動詞まで見直すと決められます。間違いの記録は反省文ではなく、次の確認場所を指定するメモです。短い言葉で残し、解き直した後にはその点を自分で見られたか確かめます。
教材の使い方にも役割を付けます。教科書は規則と基本の例文を確かめるため、問題集は似ているけれど異なる文で判断するため、ノートは迷った理由を残すために使います。同じ解説をすべてのノートに写す必要はありません。後から「何を見れば直せるか」がわかるよう、教科書のページと問題番号を書いておけば、再び取り組むときに探せます。
翌日の学習では、前日の記録を開く前に、同じ規則を使う別の問題から始めてみます。理由まで言えたら、その単元の少し長い文に進みます。理由が曖昧なら、前日の例文に戻り、意味と形の対応を確認します。日を変えた確認を入れるのは、「その場ではできた」という状態と、後でも取り出せる状態を、家庭でも見分けるためです。
先に進むか迷うときは、解説なしで意味を選び、手がかりを示せるかを目安にします。正答していても理由が毎回変わるなら、違う文を増やす前に、基本の例文と説明の対応を確かめます。反対に、理由まで安定して言えるなら、同じ問題を最初から全部やり直す必要はありません。語や場面の異なる問題を選び、同じ規則がどこでも使えるかを見ます。取り組んだ量だけで判断せず、自分が担えた作業に合わせて次を選んでください。
疲れている日は、最初の例文の比較と、理由を言う確認までで区切っても構いません。その代わり、どこで終えたかを記録します。「文法を勉強した」だけでは続きが選びにくいので、「過去の意味は選べた。自分で文を書くところから再開」と残します。途中で止まっても、次にすることが見える終わり方なら、学習の続きを自分で始められます。
難しい問題に出合ったら、わからないことを小さく分けましょう。語の意味が不明なのか、主語が見つからないのか、今日の規則の使いどころが不明なのかを書きます。調べても整理できないときには、その問題と自分の途中までの考えを塾へ持っていきます。「全部わかりません」という相談より、説明が必要な場所に早くたどり着けます。

個別指導では、説明の後の一手まで確かめる
個別指導で最初に行いたいのは、説明量を決める前に、お子さまの判断を聞くことです。誤答を見たら、すぐ正しい規則を話し始めるのではなく、「どこを見て、その答えを選びましたか」と尋ねます。理由が言えないときには、意味の選択から一緒に確かめます。すでに理解している説明を繰り返す時間と、新しく必要な説明を受ける時間を整理するためです。
正解の答案も診断に使います。選択肢の並びや、直前の問題と同じ形を手がかりにしていたなら、別の文でも判断できるかを見ます。反対に、意味と規則の関係を説明できているのに、つづりで間違えているなら、その理解は次の学習に生かせます。丸の数だけで戻る単元を決めず、どの作業ができているかを見て、課題を選びます。
塾が持つ役割は、規則の説明、例文の選定、誤りの原因の整理、次に確かめる課題の準備です。お子さまが「なんとなく」と答えたところを、そのまま曖昧に終わらせず、指差しや日本語での説明など、答えやすい方法で判断を引き出します。文法用語が出てこなくても、意味の違いを捉えているなら、その理解から言葉を整えます。
説明するときには、扱う範囲を狭くします。今回の誤りを直すのに必要な条件を示し、短い例で確かめ、別の文を本人に読んでもらいます。説明が終わるたびに「わかりましたか」と尋ねるだけでは、何が伝わったかは見えにくくなります。「この文ではどこを見ますか」と課題を渡せば、次の説明を足す必要があるか判断できます。
練習の難しさも、文の長さだけでは決まりません。訳があるか、規則名が書かれているか、選択肢があるかによって、学習者が自分で担う判断は変わります。塾では、最初に必要な助けを付け、理解に合わせて少しずつ外す設計をします。助けを外したところで止まったら、その判断を取り出して練習し、再び文全体に戻します。
家庭が持つ役割は、取り組む場所と時間を相談し、必要な教材を開ける状態を支えることです。保護者が毎回正しい文法説明を用意する必要はありません。「今日はどの違いを確かめたの」と尋ね、お子さまがノートを見せられれば、学習内容を共有できます。質問に答えられない場合も、その様子をそのまま塾へ伝えれば、次の確認に使えます。
家庭で答えが割れた問題は、その場で決着させようとせず、問題番号と双方が迷った箇所を残します。保護者が解説を読み込み、お子さまを説得することまで引き受けると、学習の内容と家庭内のやり取りが絡まりやすくなります。塾では、提出された問題に戻って、何を根拠に選ぶのかを整理します。家庭の記録は、短い疑問の形で十分です。
進み具合は、「説明を見れば選べる」「何も見ずに理由を言える」「自分の文でも使える」のように、課題と助けの有無を組にして記録します。これなら、同じ単元に取り組んでいても、前回と何が変わったかを伝えられます。単元名に済みの印を付けるだけで終わらず、どの条件でできたかを残すことが、次の宿題を選ぶ材料になります。
保護者への連絡も、取り組んだページの報告だけにせず、判断が見えた箇所を中心に組み立てます。たとえば「時間を表す語から意味を選べました。動詞の形を理由に挙げるところは、例文を見ながら確認しました。次回は印のない別の文で確かめます」という形です。できたこと、残った課題、次の確認がつながり、家庭でも見通しを持てます。
宿題には、本人が解き方を説明できた問題と、まだ助けが必要な問題を混ぜすぎないようにします。どちらに取り組むのかを示し、迷ったときに戻るページも添えます。自力で進める課題なのか、疑問を集める課題なのかが明確なら、解けなかった問題も授業に持ち帰る材料になります。家で長く止まっていたことを、努力不足だけで片づけずに済みます。
授業に持ち込むノートには、問題番号、最初に選んだ答え、迷った理由が揃っていれば役立ちます。たとえば「説明の例では選べるが、主語が変わると迷う」とあれば、塾では主語が変わったときに何を確かめているかを聞けます。お子さまがきれいな質問文に整える必要はありません。矢印や途中の線も、判断をたどる材料です。授業後には同じ箇所に短く追記し、どの説明で整理できたかを本人が見返せるようにします。
説明を受けても同じ箇所で迷うなら、さらに詳しい説明を重ねる前に、前提を点検します。主語を見つけられるか、必要な単語を読めるか、日本語で示した場面を理解できるかを確認します。どこまで戻るかの判断も塾が担います。お子さまと保護者に残るのが「もっと頑張る」という曖昧な課題だけにならないよう、次の小さな行動まで具体化します。
文法の説明についてよくある3つの疑問
Q1. 説明が必要なら、先に文法書を全部読めばよいですか。
読む範囲は、今判断したいことに合わせて絞れます。まだ出合っていない使い方まで一度に覚えようとすると、どの規則を目の前の文に使えばよいか迷うことがあります。まず短い例文で意味と形を対応させ、似た文で確かめてから範囲を広げます。全体を見渡す読書と、今日の誤りを直す学習は目的が違います。読み終えたページ数に加えて、理由を言えた問題を確認してください。説明を読んだ直後でも使いどころが曖昧なら、続きを読み進める前に、今の例文を比べる時間を取ります。
Q2. 文法用語を言えないと、理解できていないのでしょうか。
用語がすぐ出てこなくても、「昨日の出来事なので、この形を選ぶ」と言えていれば、意味と形の関係を確かめられます。一方、用語を正確に言えても、英文のどこを指すか曖昧なこともあります。最初は本人の言葉で理由を聞き、その説明に対応する用語を後から結びつけます。用語は、質問や解説を短くやり取りするためにも役立ちます。「名前を言える」「該当箇所を示せる」「意味を説明できる」を別々に確認すると、必要な学習を選べます。
Q3. 問題は解けるのに、読むときに使えない場合も説明を増やしますか。
まず、問題を解くときにあった助けを探します。単元名や選択肢が手がかりだったなら、それらのない短い文で、どの規則が関係するかを探す練習をします。長い文章では迷うなら、該当する1文を取り出して確かめ、意味が取れた後で前後の文に戻します。その途中で規則自体が曖昧だとわかったら、必要な説明を加えます。読む量を増やす前にも、説明を増やす前にも、どの段階で止まるかを見ましょう。説明と練習の配分を、実際の判断に合わせて変えます。
「説明を聞いた」の先に、確かめられる変化を
文法の説明は、英文のどこに注意を向け、何を根拠に判断するかを伝える手段です。学習では、短い説明を読み、意味を選び、根拠を示し、自分の文で使うところまでつなげます。途中で迷った箇所が見えれば、次に読む説明や取り組む問題を選べます。
家庭では、解説を全部言い直せるかよりも、「今日はどこを見て答えたか」を確かめてみてください。理由を言えない問題が残っても、その問題こそ授業で扱う手がかりです。「ここを見て選んだ」と英文を指す手に、説明から得た知識が表れます。理由を添えた正答が、自分で読める文の範囲を広げていきます。
参考文献
- Spada & Tomita(2010)Language Learning。文法の明示的・暗示的指導に関する41研究のメタ分析。 https://consensus.app/papers/details/b8f1693688875fca86f91a40f5ff766f/
- Maeng(2020)Modern English Education。韓国の40研究を対象とする明示的・暗示的指導のメタ分析。 https://consensus.app/papers/details/1d51f813264e5a9da03419d6897784e3/
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