勉強の用途を本人に書かせるか——生活との接点は低成績群の学びを支える|武蔵野個別指導塾が薦める学習の仕方

勉強の用途を本人の生活と結びつけて書く課題は、関心や成績を支えます。効果が目立つのは、成功への期待やそれまでの成績が低い生徒です。家では、将来の立派な夢を書かせる前に、今学んでいる内容との接点を本人の言葉で聞きます。

「これ、将来何に使うの」と子どもが尋ねます。机の向こうから届いた問いに、親は受験や仕事の話を返します。けれど研究で試されているのは、大人が勉強の価値を演説するだけの方法ではありません。学ぶ内容と自分の生活のつながりを、生徒自身が見つける課題です。親の名回答を待つ時間を、本人が接点を探す時間へ変えます。

利用価値とは、課題が自分の目標や生活にとってもつ意味を指します。今回の研究では、数学、理科、心理学などの内容を自分の生活と結びつける介入が扱われています。話の中心は「興味のある子だけが伸びる」ではありません。成功できそうにないと感じている子や、成績の低い子に、どんな変化が報告されたかを読みます。

1. 論文を役割で並べる

Silvermanほか(2023)は、米国の高校の数学で、短い利用価値の活動が数学の価値の認識、新しい取り組み、数学と自分の社会的な立場が合うという感覚を促したと報告しています [1]。これらが成績や関心への間接的な効果を媒介しました。活動から成績へ至る間の変化を考える論文として置きます。

高校数学の最初の実験の参加者数は N = 375 でした [1]。研究は無作為化した現場実験で、事前登録した分析から、価値の認識、新しい取り組み、数学と社会的な立場の適合感の変化を報告しています。成績や関心については、これらの変化を通じた間接効果として分析しています。活動の直後の感想だけを、授業の成績と同じ結果にはしません。

Hullemanほか(2009)は、高校の理科で、学ぶ内容と自分の生活を結びつける介入が、成功への期待の低い生徒の理科への関心と授業成績を高めたと報告しています [2]。無作為化した現場実験であり、苦手意識のある高校生という、家庭の問いに近い条件を示します。

Hullemanほか(2010)は、実験室と大学の授業で、数学や心理学が生活にどう関係するかを説明する文章課題を用い、利用価値の認識と関心が増したと報告しています [3]。とくに、期待していた成績や実際の成績が低い参加者で効果が目立ちました。今回の「本人に書かせる」という手立てを直接扱う論文です。

Hullemanほか(2017)は、大学の一般教育の授業で、利用価値の介入が成績の低い学生の関心と成績を高めたと報告しています [4]。生活とのつながりをつくる頻度を測定し、別の研究ではその頻度を増やす介入も試しました。無作為に介入へ割り当てられた学生は、学べるという自信を高め、それが成績の向上につながりました。

2. 将来の職業まで決めて書く必要がありますか?

論文の課題は、学ぶ内容と本人の生活との接点をつくるものです [2][3]。就きたい職業を決めてからでなければ取り組めない課題ではありません。将来の夢が未定の子へ「何になりたいの」と追い込むと、研究で試した問いから離れます。家では、今日の学習内容のどこが自分の生活とつながるかを聞きます。

たとえば、本人が思いついた接点を短い文章にする、という形で確かめます。文章の長さより、本人が内容との接点を説明できるかを見ます。この研究で扱ったのは、自分の生活との関連を説明する文章課題を用いたことです [3]。親が考えた用途を清書させるのではなく、本人がつながりを考えたかを確かめます。その違いを課題の芯にします。

大学の一般教育科目で行った研究は、生活との接点を作る介入の効果が、とくに成績の低い学生で目立ったと報告しています [4]。低成績の男子学生について、期末試験での介入群と対照群の差は d = .76 でした。この数値を高校数学や全学生の平均へ移すことは避けます。誰の、どの試験で、何と比較した結果かを残すことで、条件に沿った効果の読み方になります。

3. 成績が低い子に何が起きたのですか?

高校の研究では、成功への期待が低い生徒に関心と成績の改善が見られました [2]。文章課題の研究でも、期待や実際の成績が低い参加者への効果が目立ちました [3]。大学の研究では、成績の低い学生への効果が報告され、学べるという自信の変化も扱われています [4]。得意な子が用途を語る話だけではありません。

ただし「成績が低い」と「成功への期待が低い」は同じ指標ではありません。点数は悪くても次はできると思っている子も、点数は悪くなくても不安な子も、同じ条件にまとめません。家庭の確認では、本人が何を難しいと感じているかと、今回の内容にどんな接点を見つけたかを別に聞きます。研究が区別したものを、親の印象でひとつにしません。

文章課題の研究では、関心を、その場の感情的な反応として生じる関心と、今後も課題に取り組もうとする関心に分けています [3]。教材を見た瞬間に面白いと感じることと、次にも取り組みたいと受け取ることを、同じ返答だけで判定しません。家庭で文章を読むときも、本人がどんな接点を見つけたのかを聞き、それを次の学習で使ってみようと考えているかを別に尋ねます。

4. 関心が出れば成績もすぐ上がるのですか?

高校の数学の研究は、価値の認識などを通じた成績や関心への間接効果を示しています [1]。文章課題の研究では、利用価値の認識が関心への効果を説明し、成績を予測しました [3]。関心が増したことと、点数が上がったことを同じ出来事にしません。研究はその間のつながりを分析しています。

家での記録も、用途を書いたか、内容への接点を見つけたか、学ぶ自信について何を言ったか、実際の学習をどう進めたかを分けます。これらをすべて得点の代わりにしてはいけません。本人が「役立つ」と書いても、その単元を説明できるかは別に確かめます。用途の文章は、学習内容の理解を採点する答案の代わりにはなりません。

利用価値と対照条件を比較した大学の研究は、低成績の男子学生で学期中の成績が改善し、対照群では成績の低下が続いたと報告しています [4]。これは一度の返答の良し悪しだけを比べた結果ではありません。学期を通じてどの集団に変化があったかという所見です。家庭で接点を書く際も、その文章を親に見せて終えるのではなく、本人が次に学習内容へ向かった場面を確認します。

【反証】この回が言えないこと

今回の研究は、日本の家庭で親が文章課題を出した場合の得点増加を示していません。高校の理科と数学、大学の一般教育や心理学、実験室の課題を一括して、すべての年齢・教科で同じ効果が出るとは結論づけられません [1][2][3][4]。

大学の研究にある特定の低成績群の結果を、全生徒の平均の効果に変えて紹介しません [4]。また、生活との接点をつくる介入の効果は、文章を長く書くほど効果が大きいという主張ではありません。無理に立派な理由を書かせること、親の用途を本人の用途と扱うことも、この研究の結果には含まれません。

実務——家でできる 3 つの確認

1. 本人の文章に、今学んでいる具体的な内容が出ているかを見ます。「勉強は将来役立つ」だけなら、今回の単元との接点を聞き直します。大人が期待する進路の言葉を足すより、本人が関係を見つけた場所を読みます。

2. 用途と理解を別に確かめます。接点を書いたあと、その学習内容を見ずに説明してもらいます。武蔵野個別指導塾はアクティブリコールを採用しています。用途を書いたあとも、内容を学べたかの確認に使います。

3. 次の学習でも、その接点を本人がどう捉えているか聞きます。塾が採用する間隔反復は、内容の復習を組み立てる方法です。復習する日程は、本人の学習計画として組み立てます。用途の文章と内容の復習を、別の確認として続けます。

武蔵野個別指導塾では、完全 1 対 1 で生徒の説明を聞き、生活との接点と教材の意味を照合します。用途の文章を書けたことに加えて、学習内容を使えるかを確かめます。苦手意識のある単元の学び方を考える相談は、武蔵境の大学受験対策で受け付けています。本人が見つけた接点を踏まえ、内容の復習を組み立てます。

関連記事:興味はどう育つか——「好きになれば伸びる」はどこまで本当か。

目標への期待と生活との接点を、学ぶ内容に沿って考えます。

よくある質問

Q. 親が役立つ理由を教えてはいけませんか?

研究は、親が役立つ理由を教える方法を調べていません。家では親の説明を増やす前に、本人がどんな接点を考えたか聞きます。親からの理由説明そのものの効果と混ぜません。

Q. 夢が決まっていなくても書けますか?

将来の夢を決めず、今の生活との接点から書けます。今の生活と学習内容の接点から考えます。具体的な内容と自分の生活の接点を本人の言葉にします。

Q. 書いても点が変わらなければ無意味ですか?

点が変わらないだけで無意味とは判断できません。家でも何が変わったかを分けて見ます。用途を書いた事実だけで成績への効果を認定しません。

出典

  1. Identifying the psychological mechanisms of utility-value activities to inform educational research and practice.(David M. Silvermanほか、2023、The British journal of educational psychology)
  2. Promoting Interest and Performance in High School Science Classes(Chris S. Hullemanほか、2009、Science)
  3. Enhancing interest and performance with a utility value intervention.(Chris S. Hullemanほか、2010、Journal of Educational Psychology)
  4. Making Connections: Replicating and Extending the Utility Value Intervention in the Classroom(Chris S. Hullemanほか、2017、Journal of Educational Psychology)

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