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模擬面接で不安は下がるか—自信と準備の研究|武蔵野個別指導塾
録画を見て落ち込む前に、確かめる点を絞りましょう。不安と答えの変化を分けて記録し、一人で進める模擬面接の手順と、家庭での声のかけ方を試せます。

模擬面接で不安は下がるか—自信と準備の研究
録画を再生する指が止まるとき
よくあるのは、自宅の和室でスマートフォンを小さな三脚に固定し、志望理由を録画したものの、再生画面に指を置いたまま止まってしまうという場面です。話している途中で言葉が途切れたことは覚えています。自分の声を聞くのも気恥ずかしく、見直すと欠点ばかり見つかりそうです。そこで録画を消し、もう一度最初から撮り直したくなります。
総合型選抜や学校推薦型選抜の面接を控えた高校生にとって、「練習すれば安心するはず」という言葉が負担になることがあります。準備しているのに緊張が残ると、努力まで足りない気がするからです。保護者も、お子さまにどこまで練習を勧めればよいのか迷うでしょう。
模擬面接には、不安を和らげ、準備への自信を支える可能性があります。ただ、練習後の気分だけでできを判定すると、見落とす変化があります。緊張しながら具体的な経験を話せたことも、言葉に詰まったあとに答え直せたことも、次につながる材料です。録画を採点の道具にする前に、何を確かめるために撮るのかを決めておきましょう。

不安と自信と準備を別々に見る
録画つきの模擬面接を扱った研究では、準備度と自信が上がり、不安が下がったと報告されています。また、参加者は録画を見ることで、目線や「えー」といった言葉の多さに気づきました(Marcusほか・2023)。19名の変化を捉えた報告なので、高校生の入試面接一般へ広げるには慎重さが要りますが、録画を使って自分の発言を確かめる方法には目を向けられます。
ここで区別したいのは、「落ち着いている」「答えられそうだと思う」「答えの材料がそろっている」という状態です。落ち着いて話せても、質問に対する説明が抜けていることはあります。反対に、手が冷たくなるほど緊張していても、聞かれたことに沿って自分の経験を伝えられる場合があります。不安と準備を同じものとして扱うと、前者を高く、後者を低く見積もってしまいます。
自信も、何についての自信かを具体的にする必要があります。「面接なら大丈夫」という感覚と、「活動で工夫したことを、自分の行動を挙げて説明できる」という見通しは異なります。練習で育てたいのは、答えるために使える経験があり、途中で止まっても戻る手がかりがあるという見通しです。言いよどまなかったことだけを成功にすると、少し詰まった瞬間に練習全体が失敗に見えてしまいます。
不安の中身を分けることも役立ちます。「質問を聞き取れなかったらどうしよう」と「何を話せばよいかわからない」では、準備する内容が変わります。前者なら聞き返し方を声に出して試せます。後者なら活動の記録を読み、話せる出来事を探します。「自分は面接が苦手」とひとまとめにせず、困る場面を短い文にすると、手をつける場所が定まります。
録画には、その場所を探す使い方があります。話している最中の印象では「ずっと黙っていた」と感じても、見直せば止まったのは質問の直後だけかもしれません。逆に、うまく話せたと思っていても、何を工夫したのかが聞き手に伝わらないこともあります。映像から取り出すのは、人格への評価ではなく、発言と動作の記録です。
ただし、目線や口癖を見つけたからといって、すぐに全部直す必要はありません。まず質問に答えているか、次にその答えを支える経験があるかを見ます。話の内容が届く状態を確かめてから、聞き取りづらい箇所を整えます。録画の中の自分を眺め続けるより、次の練習で扱う課題を決めて再生を終えるほうが、取り組みの目的がはっきりします。
一人で進める短い録画と見直しの手順
以下は、自宅で試すための進め方です。用意するものは、質問を書く紙、自分の活動の記録、志望理由書の下書き、録画できる機器です。機器が使えなければ音声だけを残すか、話し終えた直後に覚えている発言を書きます。まずは負担なく終えられる長さを決め、同じ答えを際限なく撮り直さないようにします。
最初の3分で心配と今日の目標を書く
練習前に、紙を「心配」「今日試すこと」「終わって確かめること」に分けます。「言葉が出なくなるのが心配」なら、今日試すことは「少し考えてから答えると伝える」、確かめることは「そのあと経験の説明に戻れたか」です。「堂々とする」のように判定しにくい目標は、見たり聞いたりして確かめられる動作に置き換えます。
気分の記録には「始めやすい」「気になるが始められる」「今日は負担が大きい」といった自分に通じる言葉を使えます。これは人と比べる点数ではありません。同じ本人の練習前後を見返すためのメモです。書いた状態を理由に自分を叱らず、その日に扱う質問や録画の長さを選ぶ材料にします。
次の5分で経験を探し、質問を選ぶ
活動の記録から、担当したこと、迷ったこと、やり方を変えたことに印をつけます。日記や手帳に長い文章がなくても、当時作った資料や予定のメモが使えます。教材として必要なのは、立派に整えた答えの集まりより、自分が何をしたかを思い出せる資料です。経験を飾るために、実際には担っていない役割を書き足さないようにします。
志望理由書の下書きは、暗唱する原稿としてではなく、説明が必要な言葉を探すために使います。「関心が深まった」に線を引いたら、「どの出来事で、何を知りたくなったか」と質問に変えます。「協力した」なら、「意見が違ったときに、自分は何をしたか」と書きます。下書きと話す内容を照らし合わせることで、文章だけでは省いていた具体を探せます。
質問の紙には「なぜ学びたいのか」「活動で何を工夫したか」「その経験から何を考えたか」を書いておき、今日は扱う問いを選びます。最初からすべてを通す必要はありません。制度や面接に関する条件は、志望大学の最新の募集要項で確かめるようにします。ここで作る質問は、自分の説明を点検するための練習用です。
1分ほど話し、止まったところも残す
選んだ質問を読み上げてから録画を始めます。答えは、質問への返事、自分の経験、その経験についての考えという順番を手がかりにします。たとえば工夫を聞かれたなら、最初に何を変えたかを述べ、その前にどのような困りごとがあったか、自分が何をしたかを説明します。順番を守ることに気を取られたときは、質問への返事に戻ってください。
途中で詰まっても、すぐ録画を止めず、「少し整理してお話しします」と言って続きを探します。言い直したいときは、「先ほどの説明に補足します」と区切ってもよいでしょう。言い直しの言葉だけを暗記して終えず、そのあとに伝えたい内容まで話すことが練習になります。最初から流れるように答えられた映像だけを残すと、戻り方を見直す材料がなくなります。
1分は自宅で話を区切るための目安です。途中で時間になったら、どこまで話せたかをメモします。話が長くなった理由が、経験を詳しく説明したためなのか、同じことを繰り返したためなのかで、次に直す場所が変わります。急いで全文を押し込む前に、質問に必要な部分を選び直しましょう。
見直す5分は確認する点を絞る
再生前に、紙へ「質問に答えた箇所」「自分が動いた箇所」「次に補う箇所」と書きます。最初は声の印象や表情から離れて、話の内容を聞き取ります。質問への返事に当たる文を抜き出せるか、自分の行動を示す言葉を拾えるか、説明が飛んだところがあるかを確かめます。記憶だけで「何も話せなかった」と結論づけず、実際に発した言葉を残します。
「活動を頑張りました」だけなら、次は何を変えたのかを加えます。「皆で話し合いました」だけなら、その中で自分が提案したことや、聞いて考え直したことを探します。足りない箇所が見つかったら録画を繰り返し見るのをやめ、活動の記録に戻ります。話す材料が足りない問題は、姿勢を整える練習だけでは解決しにくいからです。
内容を見たあと、音声が聞き取れるかを確認します。語尾が小さくなる箇所があれば、その文だけ声に出します。目線が気になる場合は、考えるときと相手に伝えるときを分けて見てください。常に同じ方向を見続けることを目標にせず、手元を確認したあと顔を上げて説明を続けられるかを試します。「えー」を数えることが負担なら、口癖の点検は後に回せます。
見直しのメモでは、事実と感想を別の行にします。「途中で黙った」は事実ですが、「相手をがっかりさせた」は自分の推測です。「声が震えた」と「何も伝わらなかった」も同じ意味ではありません。聞き取れる内容が残っているかを確認すると、次に必要なのが声の出し方の調整なのか、答えの材料の補足なのかを考えられます。録画で確かめられる範囲に絞って書くことが、自己評価を広げすぎない助けになります。
3分で直す場所を決めて終える
最後に、次回直す場所を選びます。「冒頭で質問への返事をする」「自分の行動を加える」「聞き取れる声で語尾まで話す」のように、具体的な行動で書きます。課題がいくつも見つかっても、その日の撮り直しでは扱うものを絞ります。全部直そうとして長い原稿を書き足すと、何を試した録画なのかが曖昧になります。
撮り直したあとは、前の映像と同じ質問への答えを比べます。気分が軽くなったかに加え、返事が先に出たか、経験が伝わったか、止まったあとに戻れたかを確かめてください。変化がなかった場合も、「次は話す前に経験のメモを選ぶ」と次の手が決まれば、記録を残す意味があります。終える時刻を延ばし続けず、続きは別の日に回します。
次回は、まず前回と同じ問いで変更点を確かめ、そのあと言い方を少し変えた問いを試します。「工夫したこと」を「やり方を変えた理由」と聞かれたとき、同じ経験のどこを使えばよいかを考えます。問いが変わるたびに別の全文を作るのではなく、経験の中から聞かれた部分を選ぶ練習です。手元のメモも長文から短い手がかりへと整理できます。
答えを見ずに話せるかも、別の日に確かめたい点です。まず質問だけを見て答え、そのあと下書きを開きます。話せなかった部分があれば、全文を覚え直す前に、その部分の意味を自分で説明できるかを試します。意味を説明できるのに順番を忘れるなら、短い見出しを手がかりにできます。意味そのものが曖昧なら、経験の記録や読んだ資料へ戻り、何を伝えたいのかを整理します。
また、質問を聞いた直後に答えが浮かばないときは、問いを短く言い換えてみます。「活動で工夫した点ですね」と確かめてから、対応する経験を選びます。経験は浮かぶのに話がまとまらないなら、最初に返す文だけを書いて声に出します。何も浮かばないなら、その問いについて資料を調べる時間に切り替えます。詰まるたびに録画を増やす必要はなく、詰まった理由に合わせて使う教材を変えられます。

個別指導で引き受ける調整と家庭の支え
一人での練習には、自分では判断しづらいところが残ります。間が長いと感じた箇所が、聞き手には自然な考える時間だったかもしれません。反対に、本人には当然の出来事でも、初めて聞く人には背景が必要な場合があります。個別指導では、本人の感想を先に聞き、実際の発言と並べて確かめます。「不安だった」という申告を、話せていない証拠として扱わないことが出発点です。
塾が持つのは、問いの選び方、答えの内容への指摘、次に試す課題の調整です。家庭に録画の採点までお願いすると、練習を終えたあとも面接のできが話題になり、お子さまが練習を切り上げにくくなることがあります。家庭には、練習する場所と時間の相談、機器を使う環境の確認、終えたあとの過ごし方を支えていただきます。誰が何を見るかを決めておくと、同じ答えに違う注文が重なるのを避けられます。
指導の初めには、本人が避けたいことも確かめます。録画そのものが気になるのか、他の人に見られることが気になるのか、自分の声を聞くことが気になるのかを分けます。いきなり最初から最後まで通す代わりに、答えの冒頭だけ、音声だけ、指導者との短いやり取りから始める方法があります。本人が何を試す時間なのかを理解できる形で、負担と課題を調整します。
録画を使う際には、誰が見るか、どこに保存するか、いつ削除するかを先に相談します。自宅の映像には家の中や家族の声が入ることもあるため、共有する必要のない部分まで送る前提にはしません。本人が映像の共有を望まない場合には、困った質問と答えのメモを使うこともできます。準備を進めるために必要な情報を選び、家庭からすべての録画を集める運用にしないことが肝心です。
指摘は、性格や印象ではなく、その場で扱える内容にします。「もっと積極的に」では何を変えるかが定まりません。「工夫したことを聞かれたので、最初に変更点を言ってみよう」なら、その場で試して違いを確かめられます。答えが出なかったときも、「気持ちが弱い」と結びつけず、質問の意味、経験の選択、説明の順番のどこで止まったかを探します。
本人が持つ役割は、指導者の答えを借りることではなく、経験の意味を選び直すことです。同じ活動でも、仲間との調整に関心を持ったのか、仕組みの不便さに気づいたのかは本人に確かめる必要があります。指導者が聞き栄えのよい意味を足してしまうと、追加の質問で自分の経験とのつながりが薄くなります。話す材料を一緒に整理しても、最後は本人が納得する言葉で答えます。
進み具合は、録画の本数ではなく、質問ごとの記録で見えるようにします。たとえば「活動の工夫を聞かれた」「全体の紹介から話し始めた」「変更点を冒頭に置いた」「次は変更した理由を聞く」と残します。不安についての本人の言葉は別の欄に置きます。「まだ緊張するが、聞かれたことには返せた」と書ければ、気分と応答の両方を保った記録になります。
記録を比べる際には、練習の条件も添えます。手元に下書きがあったか、質問を事前に見ていたか、追加の問いがあったかを書きます。原稿を見ながら話した回と、質問だけで答えた回では、本人が使える手がかりが違います。後者で言葉が途切れたからといって、準備が後戻りしたとは限りません。前と同じ条件で確かめる時間と、条件を変えて試す時間を区別すると、次に何を支えるかを判断しやすくなります。
保護者への連絡も、「今日扱った問い」「本人ができたこと」「次に確かめること」「家庭でお願いすること」の順にすると、支える範囲が伝わります。「志望理由の冒頭を自分の言葉で話せました。次は関心のきっかけを具体的に聞きます。家庭では録画の見直しを求めず、予定した時間で終えられるようお声がけください」といった形です。合否の見立てや性格の評価を添えず、次の準備に必要な情報を渡します。
練習後に保護者が聞くなら、「うまくできた」だけでなく、「今日は何を確かめたの」「次はどこを試すの」と尋ねられます。本人が今は話したくないときは、記録を見せるよう迫る必要はありません。返事の短さだけからやる気を推測せず、次の練習に取りかかれる時間があるかを相談します。家庭で何度も励ますより、決めたところで練習を終えられる環境が支えになる場面もあります。
模擬面接の記録と本人の不安を照らし合わせる際にも、総合型選抜を専任で指導する武蔵野個別指導塾の代表・宮川が継続して見ます。前回の不安の言葉と今回の発言をつなげて見ることで、繰り返す必要のある課題と、すでに自分で進められる課題を分けます。本人が話せた部分まで毎回最初からやり直すのではなく、今止まっている箇所に指導の時間を使います。
模擬面接についてのよくある誤解
Q1 練習後も不安なら、効果がなかったのでしょうか
不安が残っているという理由だけでは判断できません。練習前に何を心配していたか、実際にどこで困ったかを比べてください。「何も答えられないと思っていたが、経験は話せた」「途中で詰まったが、質問を確認して続けられた」なら、次の準備に使える事実があります。気分が軽くなったかと、できる動作が増えたかは分けて記録します。
一方、毎回同じ問いで苦しくなり、終わったあとも自分を責め続けるなら、練習の長さや見直す範囲を調整しましょう。録画を最後まで見ることを宿題にせず、困った箇所を言葉にして指導者へ伝えてもかまいません。練習回数を増やす前に、何が負担なのかを確かめます。
Q2 「えー」をなくし、目線を固定するべきですか
まず、聞き手に内容が伝わるかを確かめます。口癖が気になって質問への返事を忘れてしまうなら、同時に直す課題が多すぎます。自分の行動を具体的に説明する練習と、聞き取りやすい話し方を試す練習を分けてください。語尾が聞こえない箇所や、下を向いたまま長く話す箇所など、直す対象を狭めます。
考えている間の動きまで監視し続ける必要はありません。目線が外れたことだけを失敗にせず、説明に戻れたかを見ます。研究で参加者が気づいた点も、自分に当てはまる課題かどうかを確かめてから扱うと、映像を見る目的を保てます。
Q3 保護者が厳しい面接官役をすると鍛えられますか
家庭で協力するなら、まず本人と質問と終了時刻を決め、質問を読んで答えを聞く役から始めてください。急に否定したり、答えの途中で細かく直したりすると、どの課題を試している時間なのかが曖昧になります。「聞いてほしいだけか、内容の感想もほしいか」を先に尋ねると、役割を合わせられます。
感想を求められたら、「工夫した場面は伝わった」「その行動を選んだ理由をもう少し聞きたい」と、聞き取れた内容と質問を返します。人格への評価や他の受験生との比較は持ち込まず、終わったあとは通常の親子の時間に戻します。追加の問いへの対応は、塾と相談して段階を決められます。
緊張を抱えた自分にも使える準備を残す
模擬面接を終えたとき、安心しきっている必要はありません。何を聞かれ、何を答え、どこから言い直せたかが残れば、次の練習で試すことを選べます。録画を消す前に、話せていた文と、補いたい文を短く書いてください。見つかった課題をすべて今日のうちに直す必要もありません。
保護者は、お子さまの「まだ不安」という言葉と、準備が進んだ事実を同時に受け取れます。緊張が残る日にも、本人が自分の経験を使って答えを組み立てられるよう、練習の範囲と終わりを支えます。模擬面接の振り返りで、沈黙のあとに続いた言葉へも目を向けると、「止まっても再開できた」という準備の成果を拾えます。
参考文献
Marcus et al.(2023)Journal of Nursing Education. 録画つき模擬面接における準備度・自信・不安の変化。 https://consensus.app/papers/details/ecc6cf6f27bd58f2aac04035bb28b582/
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