「期待」は伝え方で効く—高い期待と学力の研究|武蔵野個別指導塾

「あなたならできる」が重く響くとき、何を言い換えればよいのでしょうか。親の期待と学力の研究を手がかりに、点数の要求を次の一歩への支援に変える言葉と、塾への連絡の仕方がわかります。

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「期待」は伝え方で効く—高い期待と学力の研究

よくあるのは、駅までの道で、塾に向かう子に「あなたならもっと上を目指せるよ」と声をかけたら、「今のままじゃだめってことでしょ」と返ってくる場面です。親は背中を押したつもりです。ところが子どもは歩く速度を上げ、親はその横顔を見て、もう何も言えなくなります。応援したかっただけなのに、という気持ちが残ります。

学校や塾から「もっと期待をかけてください」と言われても、すでに十分気にかけているご家庭には、何を増やせばよいのかわかりません。反対に、負担にしたくなくて「成績なんて気にしなくていい」と言えば、本当にどうでもよいと思っているように聞こえないか心配になります。期待することと、追い詰めることの境目は、親にとっても悩ましいものです。

考えたいのは、期待の強さだけではありません。子どもがその言葉を聞いたあと、何に取り組めばよいかがわかるか、うまくいかなかったときも話せるかです。研究を手がかりにしながら、親の願いを、子どもが使える支えへと置き換えていきましょう。

高い期待と学力には、どんな関係があるのでしょうか

親の教育期待を扱った169研究のメタ分析では、期待と成績の間に正の関連が見られました。同じ時点で調べた研究の相関はr=.30、時間を置いて追った研究ではr=.28です(Pinquart & Ebeling・2019)。大まかに言えば、親が教育面で高い見通しを持つ家庭ほど、子どもの成績も高い傾向があり、後の成績とのつながりも見られた、という結果です。

相関の数値は、期待と成績が一緒に高くなる傾向の強さを表します。家庭で受け取るべき要点は、「期待しないほうが子どものため」と一律に決める必要はなく、学びへの前向きな見通しを持つことには意味がありそうだ、という点です。

また、親の関与を幅広く比較した二次メタ分析では、23のメタ分析に含まれる1,177研究を整理し、期待や希望が成績ととくに強く関連する関わりとして挙げられました(Kim・2022)。親が関わる量を増やす話と、子どもの学ぶ先を信じる話は、分けて考えたいところです。毎日の勉強をすべて把握することだけが、教育を大切にする態度ではありません。

169研究と1,177研究という規模は参加した子どもの人数を表すものではなく、国や年齢、期待の測り方が異なる研究をまとめた関連から、日本の家庭に合う声かけや期待の因果効果までは決められません。そのため、以下の言葉の例は研究で優劣が確定した決まり文句ではなく、ご家庭で期待を具体的な支援に変えるための提案としてお読みください。

日常の会話では、「望んでいること」「できそうだと見込んでいること」「必ず達成してほしいこと」が、どれも期待という言葉に入ってしまいます。「選べる進路を増やしてほしい」という願いと、「次は必ずこの点数を取って」という要求は、子どもが引き受ける内容が違います。親自身が何を伝えたいのかを分けると、言葉も整理しやすくなります。

たとえば「もっとできる」は、親には可能性への信頼でも、子どもには現在の努力への不満に聞こえることがあります。具体的に何が変わればよいのかが示されていないため、子どもは親の表情から合格ラインを探すことになります。「前は説明を読んでも止まっていたけれど、今は途中まで進めるね」と現状を共有すれば、その先の話を始める足場ができます。

また、「期待している」と言った直後に、答案の間違いを責めたり、希望と違う進路を話したときに会話を打ち切ったりすると、子どもには言葉以外の情報も届きます。期待を支えとして伝えるには、よい結果が出た日と、困ったことを打ち明けた日の両方で、話を聞けることが大切です。これは親がいつも穏やかでいなければならない、という意味ではありません。感情が動いたあとに話を戻せる余地を残す、ということです。

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家庭では、願いを「次にできること」までほどきます

まず、親の願いと子どもの希望を別々に言葉にします

親の希望を伏せて、本人が同じ答えを言うまで質問し続けると、会話が当て物になってしまいます。先に「私は、将来やりたいことが見つかったときに選べるよう、今の勉強を大切にしてほしいと思っている」と、自分の考えとして伝えてみてください。そのあとで「あなたは今、どこが気になっている」と尋ねます。親の希望があることと、子どもにも別の考えがあることを、同じ会話の中に置きます。

子どもが「まだわからない」と答えたら、すぐに志望校や職業を決めさせなくてもかまいません。「好きな科目をもう少し続けたい」「授業で当てられても困らないようにしたい」も、今の希望として扱えます。将来像がはっきりしない時期には、現在困っていることから話を始めるほうが、本人も言葉を出しやすいでしょう。

避けたいのは、「あなたのため」と言いながら親の希望だけを唯一の答えにすることです。「自由に選んでいい」と言ったのに、気に入らない選択には説明を重ねて撤回させるやり方も、選ぶ範囲がわかりにくくなります。通学や生活上の条件があるなら、最初に示してください。変えられる条件と、家庭として引き受けられない条件が見えるほうが、子どもも現実的に考えられます。

期待を、今の力から届く行動に翻訳します

「次はよい点を取ってほしい」で会話を終えると、子どもには目標だけが残ります。そこで「今回、説明を聞けば解けた問題を、次は自分で解けるようにしたいね」と、力の変化へ言い換えます。さらに「最初にやり直すなら、どの問題にする」と尋ねれば、取りかかる場所まで具体的になります。点数を話題にしてもよいのですが、行動へつなぐ部分を省かないことが大切です。

小学校高学年なら、「わからなかった問題に印をつけて、先生に見せるところまでやってみよう」と、外から見える行動にすると伝わりやすくなります。中学生には「次のテストに向けて、先に直したい間違いはどれ」と、自分の答案を材料に選んでもらえます。高校生には「今の希望に向けて、必要な準備と使える時間をどう考えている」と、計画の説明を求める形もあります。学年だけで決めず、本人が答えられる具体さに合わせてください。

避けたいのは、「本気になればできる」で終えることです。この言い方では、解き方がわからないのか、始める場所を決められないのか、疲れているのかが見えません。「どこで止まっているか見せてくれる」と尋ねれば、親が教科の説明をできなくても、塾に渡す材料を一緒に探せます。意欲の判定を急ぐ前に、手が止まる位置を確かめます。

予定を決めるときには、選べる余地を実際に残します。「今日中にこの範囲を見直すとして、先に取り組むのはどこにする」と聞いたなら、親が効率的だと思う順番と違っても、いったん試せるようにします。うまく進まなければ、終わったあとで理由を一緒に考えます。選ばせた直後に細部を直してしまうと、本人には選択した実感が残りにくいでしょう。親が守ってほしい範囲を先に示し、その中の進め方は任せると、責任の境目が見えます。

応援と一緒に、頼れる手段も伝えます

「あなたならできる」という言葉を使うなら、その先をつけ足してみてください。「あなたなら、まだできることを増やせると思う。やり方が合わないときは、先生と考え直そう」。自力で全部を乗り越えることまで求めず、助けを借りる道も含めて期待を伝えます。子どもが質問できることも、学習を進める大切な行動として扱います。

家庭でできる支援は、長時間隣に座ることだけではありません。「問題を教えることは難しいけれど、先生に聞きたいことを整理するのは手伝えるよ」「今は話したくなければ、落ち着いてから聞くね」と、できる範囲を具体的に示せます。親が引き受ける内容が見えれば、子どもも頼むかどうかを選べます。毎回手伝う約束をする必要はありません。

避けたいのは、助けを求めた直後に「だから先にやりなさいと言ったでしょう」と話を過去の責任に戻すことです。準備不足を振り返ることは必要でも、目の前の困り事と一度に扱うと、相談の入口が狭くなります。まず「今、どの問題で困っているのか」を確かめ、計画の振り返りは課題が整理できてからにすると、話の目的が混ざりません。

結果が届いた日は、期待を取り立てる日にしません

答案を見たら、親が評価を述べる前に「自分ではどうだった」と尋ねてみてください。本人が悔しそうなら「もっと取れたと思っているんだね」と受け止め、そのあとで「できるようになったところと、残ったところを分けよう」と提案します。よい点でも、低い点でも、何が起きたかを本人の言葉で確かめるところから始めます。

「期待していたのに」「このくらいできて当然」は、点数への感想に見えて、親の気持ちを回復する役目まで子どもに渡す言葉になりえます。「今回は読み取りで止まったんだね。どこを練習するか先生と相談しよう」と、結果の意味を学習内容へ戻します。努力を認めることと、残った課題を明確にすることは、両方できます。

うまくいったあとも、すぐに目標を上げないようにします。達成するたびに要求が遠くへ動けば、子どもには終わりが見えません。「今回決めたことはできたね。次を決める前に、何が役に立ったか聞かせて」と、いったん区切ります。同じ方法を続けるのか、負担を減らすのか、別の課題へ進むのかを、結果と本人の感触を合わせて考えます。

重く伝わったときは、言い直せます

「期待されるのが嫌だ」と言われたら、「そんな意味じゃない」と説明を急ぐ前に、どの言葉が嫌だったかを聞いてみてください。「失敗できない感じがしたのかな」「今の頑張りを認めてもらえない感じだったかな」と、答えを決めつけずに確認します。言葉が出なければ、その場で結論を出さずに終えることもできます。

言い直すときは、「心配で、結果ばかり言ってしまった。次は、困っていることを先に聞くね」と、自分の発言と次の行動を結びます。謝ったあとに長い説明を足して、親の意図を理解してもらおうとしすぎなくて大丈夫です。伝え直しが届いたかどうかは、子どもがすぐ笑顔になるかではなく、その後に意見や困り事を話せる余地が戻るかを見ていきます。

伝え方を変えたあとは、点数以外にも会話の変化を見てください。「わからない」と言えるようになったか、親と違う希望を言葉にできるか、決めた課題について本人から説明することがあるか、といった点です。これらが見られても、その場ですぐ勉強量を増やす話につなげず、まず話してくれた内容を扱います。反対に、以前より黙るようなら、言葉が長すぎたのか、話す時間が合わなかったのかを振り返ります。親の安心のために何度も確認していないかも、自分側の点検項目にしてください。

塾は学習の見通しを、家庭は願いと生活の条件を持ち寄ります

塾に求めたいのは、期待の根拠と道筋です

個別指導の面談で「もっと上を目指せます」と言われたときは、その根拠を具体的に聞いてよいのです。「授業中のどの様子からそう見ていますか」「次に身につける力は何ですか」「それをどの課題で確かめますか」と尋ねてください。高い目標を示すなら、現時点の理解と、そこから先の練習をつなぐ説明が必要です。

たとえば、解説を聞いた直後には解けるものの、日を置くと手順が出てこない場合と、問題文の意味からつかめていない場合では、用意する練習が変わります。どちらも「まだ定着していない」で済ませると、家庭には頑張る量を増やす話だけが届きます。塾には、どの段階で止まるかを見分け、課題の内容や順序を調整する役割を求めたいところです。

目標が高いほど、途中の確認も必要になります。到達したかどうかを最後のテストだけで判定するのではなく、「説明を見ずに途中まで進めるか」「似た問題で方法を選べるか」など、授業の中で確かめられる点を置きます。家庭への報告でも、正解した事実に加えて、どの程度の助けが必要だったかがわかると、期待が漠然とした励ましで終わりません。

家庭からは、本人の言葉と無理のない条件を伝えます

家では「志望校を変えたい」と言っていても、塾では以前の目標にうなずいていることがあります。逆に、家庭では意欲がないように見えても、授業中には質問しているかもしれません。どちらかが本当で、どちらかが演技だと急いで決めず、場面によって違う情報を持ち寄ります。親が見ている姿も、講師が見ている姿も、本人の一部分です。

家庭から塾に伝える内容は、本人が実際に言った言葉、家で止まった課題、生活上動かしにくい予定などで十分です。「やる気がありません」だけでは、何を変えるかが決められません。「目標の話をすると『何から始めるかわからない』と言います」と伝えれば、まず取り組む内容の整理が必要かもしれない、と授業で確かめられます。

家庭が毎日の勉強を細かく記録する必要はありません。目立った変化や、同じ困り方が続いたときに伝える形でもかまいません。親が教科の説明役を引き受けるかどうかも、無理のない範囲で決めます。家で教えられないことを、そのまま期待や関心が足りないことに結びつけないでください。生活を回しながら話を聞ける条件を保つことも、家庭から出せる支援です。

連絡には「願い・本人の受け止め・確認したいこと」を入れます

塾へは、たとえば「親としては進路の選択肢を広げてほしいと願っています。本人は目標点を聞くと『無理』と言い、今週は文章題の途中で止まりました。授業で、読み取りと解き方のどちらに困っているか確認していただけますか」と伝えられます。親の希望だけでなく、本人の受け止めと、講師に確かめてほしい内容が揃うと、次の対応を相談しやすくなります。

返答では、「励ましておきます」に加えて、確かめた事実と次の課題がわかると安心です。「式を立てるところには助けが必要でした。次は条件を整理する練習を扱います。家庭では正解まで教えるより、止まった問題を残して持たせてください」のように、塾がすることと家庭への依頼がつながっているかを見ます。連絡をした結果、家庭の仕事だけが増えていないかも確認しましょう。

また、子どもの発言を講師へ伝えるときは、「先生にこう聞いてみようと思う」と本人に共有できるとよいでしょう。親と講師が裏で目標を決めたように受け取られると、本人の考えを聞く機会が失われます。本人にすべての連絡文を作らせる必要はありませんが、何を相談するのかを知らせ、その答えを一緒に確かめる流れは大切にします。

目標の変更は、できたことを消さずに行います

続けてみても負担が大きい場合は、目標、期限、練習方法をまとめて「無理だった」と片づけず、どこを調整するか考えます。目標は残して順序を変えるのか、課題を絞るのか、本人の希望そのものが変わったのかで、話し合う内容は異なります。見直す時期も先に決めておくと、毎日の出来不出来で方針を揺らさずに済みます。その日までは試した内容を持ち寄り、予定より難しければ課題を調整する、と親子と講師で共有しておきましょう。塾には授業で確認した理解を、家庭には生活の様子を、本人には続けてみた感触を出してもらいます。

親子で進路への希望が違うときは、面談の目的を「子どもを説得してもらうこと」に絞らないようにします。親には将来の選択肢への心配があり、本人には学びたい内容や通い方への希望があるかもしれません。それぞれの理由を出したうえで、まだ調べていない情報や、判断前に確かめたい学力を整理します。すぐに同じ結論にならなくても、次に何を調べるかが決まれば話し合いは進んでいます。講師の言葉を借りて親の結論を押し通す形にすると、本人の納得を確かめる機会がなくなります。

学校や以前の塾で「ご家庭でもっと頑張らせてください」と言われ、行き詰まった経験があるなら、その困り感も伝えてください。必要なのは、誰の熱意が足りないかを決めることではなく、次に何を変えると確かめられるかを決めることです。学習の手応えが見えないまま、親だけが期待を強く言い続ける役回りを引き受ける必要はありません。

武蔵野個別指導塾の自習室 武蔵野個別指導塾

よくある誤解に答えます

Q. 高い期待とは、難しい学校を目標にすることですか

進学先は期待の表れの一部ですが、それだけで家庭の期待を測る必要はありません。「わからないことを調べられるようになってほしい」「学びたい分野を選べる準備をしてほしい」という願いも言葉にできます。ただし、抽象的な願いのままでは行動が決まりません。本人の希望と現在の理解を確かめ、取り組める課題に結びつけてください。難しい学校の名前を口にする回数を増やすことが、期待を伝える工夫になるわけではありません。

Q. 本人の目標が低く見えるときも、受け入れるだけですか

まず、その目標を選んだ理由を聞きます。「本当は挑戦したいけれど失敗が怖い」のか、「別のことを大切にしたい」のかで、必要な話は違います。理由を聞いたうえで、親の考えや、塾から見た学習上の可能性を示してもかまいません。「今すぐ決めず、この課題を試してから考えよう」と、判断材料を増やす方法もあります。本人の意見を聞くことは、最初の発言を最終決定にすることではありません。考え直す余地を親子の両方に残します。

Q. 何度も期待を伝えないと、気持ちが緩みませんか

繰り返す前に、何がすでに伝わっていて、何が止まっているかを確かめます。目標を理解していても、課題が難しすぎたり、始め方が決まっていなかったりすれば、同じ励ましだけでは取りかかれません。「期待しているよ」を重ねる代わりに、「今の進め方で困るところはある」と尋ねてみてください。約束した課題ができていない場合も、まず事実を確認し、必要な調整や次の約束を決めます。期待を持つことと、毎回その重さを知らせることは別に考えられます。

次の会話では、期待のあとに支援を添えてください

お子さんに期待するのは、その先の人生を大切に思うからでしょう。その気持ちを薄める必要はありません。ただ、子どもが受け取れる形にするには、願いだけで終えず、今できていること、次に試すこと、困ったときに頼れる相手までつなげたいのです。

次に話すときは、「もっと頑張って」の代わりに、「今、どこが難しいか聞かせて」と始めてみてください。親が答えを持っていなくても、聞けたことを塾に渡せます。期待の行き先を、遠い点数だけでなく、今日の具体的な取り組みにも置いてください。期待は、今日つまずいた1問への支援とともに届きます。

参考文献


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