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【地学基礎】プレートの動きと境界を図解で総まとめ—発散・収束・すれ違い|武蔵野個別指導塾

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海溝は発散か収束か、電車の窓で迷う人へ。海嶺・海溝・トランスフォーム断層を矢印 2 本で描き分け、海底の年代のグラフから年に何 cm 動くかを出す例題まで一本で通せます。

よくあるのは、朝の通学電車の窓ぎわでノートを開き、「海溝は発散だったか、収束だったか」と指が止まる場面です。語句は覚えたはずなのに、海嶺も海溝もトランスフォーム断層も頭の中の同じ箱に入っていて、問題の図と結びつきません。そんなときは窓の外を見てください。隣の線路の電車は、近づいてくるか、遠ざかっていくか、横をすれ違うか、この 3 通りの動きしかしていません。プレートの境界も同じ 3 通りです。この単元を終えると、地形の名前を聞いただけで 2 枚のプレートの矢印を描き、そこで起こる地震と火山を説明し、海底の年代から動く速さを計算できるようになります。

この単元で押さえること

前の単元で学んだ地殻とマントル、リソスフェアとアセノスフェアの区別がこの単元の土台になり、ここで描いた矢印は、このあとの地震、火山、日本列島の単元で何度も使います。

基本の考え方

プレートは「硬さ」で切り出した板

地球の内部には 2 通りの分け方があります。岩石の種類で分けると地殻とマントルになり、硬さで分けると、硬いリソスフェアとその下のやわらかいアセノスフェアになります。プレートは後者のリソスフェアのことで、地殻とマントル最上部をひとまとめにした板です。厚さは約 100 km あり、これは地球の半径約 6400 km の 64 分の 1 にあたります。半径 15 cm の地球儀なら約 2 mm の薄い殻で、その殻が十数枚に割れ、それぞれ別の向きへ動いているとみるのがプレートテクトニクスです。

プレートは、のっている地殻の違いで 2 種類に分けて考えます。海洋プレートの地殻は厚さ 5〜10 km と薄く、密度の大きい玄武岩質の岩石でできています。大陸プレートの地殻は厚さ 30〜60 km と厚く、上部は密度の小さい花こう岩質の岩石が中心です。この密度の差が、出会ったときにどちらが沈むかを決めます。なお、1 枚のプレートの中に大陸の部分と海洋の部分の両方を含むこともあります。

図1 海嶺で生まれた海洋プレートが海溝で沈み込むまでの断面

図1のように、海嶺(かいれい)の真下ではアセノスフェアの物質がゆっくり上昇し、圧力が下がって一部が融け、マグマになります。このマグマが海底で固まって新しい海洋地殻をつくり、できたばかりのプレートは左右へ離れていきます。海嶺を離れたプレートは冷えて厚くなり、密度も大きくなるので、海底はしだいに深くなります。やがて海溝で大陸プレートの下へ沈み込み、マントルの中へ戻っていきます。図1は厚さや深さを強調した模式図で、実際の縮尺とは違います。

地球の大きさは変わらないので、海嶺で生まれた分とつり合う量のプレートが、どこかで沈み込んでいます。生まれる場所と消える場所が組になっていると考えれば、海嶺と海溝を別々の暗記事項にせずにすみます。プレートを動かす力については、沈み込んだ部分の重みが後ろに続くプレートを引く力が大きいと考えられています。

境界は 2 枚の動きの「差」で決まる

電車の窓から隣の電車を見ているとき、目に入っているのは相手の動きそのものではなく、自分の電車との差です。同じ向きに走っていても、前を行く電車より自分の電車が速ければ、相手との間は縮まっていきます。プレートも同じで、2 枚とも東へ動いていても、西側の 1 枚のほうが速ければ、境界では近づき合います。境界の種類は、1 枚ごとの向きではなく、2 枚の間が広がるのか、縮まるのか、変わらないままずれるのかで決まります。

発散境界は間が広がる境界で、海底では海嶺になります。大西洋中央海嶺や東太平洋海嶺が代表で、大西洋中央海嶺が海面の上に現れたアイスランドでは、大地の裂け目を地上で見ることができます。大陸の中でも、アフリカ大地溝帯のように大地が裂け始めている場所があり、これも発散の動きです。教科書によっては「広がる境界」とよびます。

収束境界は間が縮まる境界で、「せばまる境界」ともよびます。形は 2 つあります。海洋プレートが大陸プレートや別の海洋プレートの下へ沈むと、深い溝の地形である海溝ができます。日本海溝やマリアナ海溝が例で、水深が約 6000 m より浅いものはトラフとよび、南海トラフがその例です。一方、大陸プレートどうしが出会うと、どちらも軽くて沈みにくいため、押し合って大山脈が盛り上がります。これが衝突で、インド亜大陸がユーラシア大陸にぶつかってできたヒマラヤ山脈が代表です。ヒマラヤの高所の地層から海の生物の化石が出るのは、かつての海底が押し上げられたからです。

すれ違う境界は、間の距離を変えずに水平にずれる境界で、代表がトランスフォーム断層です。海嶺は一直線に続いているのではなく、ところどころで軸がずれていて、ずれた海嶺と海嶺の間をつなぐのがこの断層です。プレートはここで生まれも消えもせず、横にこすれ合うだけです。陸上で見られる例に、北アメリカ西海岸のサンアンドレアス断層があります。

年に数 cm を時間の感覚に直す

プレートの動きは年に数 cm で、爪が伸びるくらいの速さです。時速 60 km の電車が 1 秒で進む約 17 m を、年に 5 cm のプレートが進むには約 330 年かかります。これだけ遅くても、地質の時間の中では大きな距離になります。年に 5 cm なら 100 万年で 50 km、1 億年で 5000 km となり、海がひとつ開いたり閉じたりする規模です。換算の目安として、年に 1 cm は 100 万年で 10 km と覚えておくと、計算の検算に使えます。

地震と火山はどの境界で起こるか

世界地図に地震の震央を打っていくと細い帯に集まり、その帯はプレート境界とよく重なります。プレートの内部は変形が小さく、動きの差が集中する境界で岩石が割れるためです。ただし、境界から離れた場所でも、伝わった力で地震が起こることはあります。境界ごとの違いは次の表のとおりです。

境界 代表の地形 働く力と断層 地震 火山
発散 海嶺 引っ張る力・正断層 浅い 多い(海底)
収束(沈み込み) 海溝・トラフ 押す力・逆断層 浅いものから深いものまで 多い(海溝より陸側に列)
収束(衝突) ヒマラヤなどの大山脈 押す力・逆断層 浅いものが多い ほとんどない
すれ違い トランスフォーム断層 水平にずれる力・横ずれ断層 浅い ほとんどない

深い地震が起こるのは沈み込み帯だけです。冷たく硬いプレートが深くまで入り込んでいるので、深さ約 700 km に達する震源もあります。図1の赤い点のように、震源は海溝から陸側へ向かって深くなり、この傾いた面を深発地震面とよびます。火山については、マグマができるきっかけの違いで考えます。海嶺では上昇するマントルの圧力が下がることで、沈み込み帯では沈み込むプレートから放出された水でマントルが融けやすくなることで、マグマができます。衝突とすれ違いの境界にはどちらのきっかけもないため、火山はほとんどありません。ハワイのように境界から離れた火山は別のしくみによるもので、次の単元で扱います。

例題で解き方を確かめる

例題1 用語の見分け

次の (1)〜(4) は、発散境界、収束境界、すれ違う境界のどれにあたりますか。(1) 大西洋中央海嶺、(2) 日本海溝、(3) ヒマラヤ山脈、(4) サンアンドレアス断層。

  1. 地形の形を言葉で確かめます。海嶺は海底の高まり、海溝は海底の溝、山脈は陸の高まり、断層はずれの線です。「海」の字がつくかどうかで判断すると取り違えるので、形に戻します。
  2. 形から 2 枚の矢印を描きます。海嶺は離れる矢印、海溝とヒマラヤは向き合う矢印、断層は平行で逆向きの矢印です。同じ高まりでも、海嶺は下から湧いてできる高まり、ヒマラヤは押されてできる高まりなので、矢印が反対になります。
  3. 矢印から境界の名前を書きます。境界の名前は矢印の向きにつけられているので、ここまで来れば迷いません。

答え: (1) 発散境界、(2) 収束境界、(3) 収束境界、(4) すれ違う境界

例題2 図の読み取り

図2は、軸のずれた 2 本の海嶺と、それらを通る東西の線を上から見た図で、矢印はプレートの動く向きを表します。区間 P、Q、R のうち、地震が活発に起こるのはどこですか。理由も答えてください。

図2 軸のずれた海嶺とそれをつなぐ断層を上から見た図と動きの向き
  1. 海嶺をはさんで矢印を確かめます。図2のどちらの海嶺でも、西側は西へ、東側は東へ動いています。海嶺は発散境界なので、必ず両側へ離れるからです。
  2. 区間ごとに、線の北側と南側の矢印を比べます。P は北側が東向きで南側が西向き、Q は両側とも西向き、R は両側とも東向きです。境界のはたらきは 2 枚の動きの差で決まるので、向きを 1 区間ずつ比べます。
  3. 向きが逆の区間だけを選びます。P では岩石どうしがこすれ合ってずれ、地震が起こります。Q と R は線をはさんで同じ向きに動いているので、ずれが生じません。線が引いてあるだけでは境界とはいえないことが、ここでの要点です。

答え: 区間 P(線の両側が逆向きに動いてずれるため。Q と R は両側が同じ向きに動き、ずれが生じない)

例題3 計算

図3は、ある海嶺から東へたどった海底の岩石について、海嶺からの距離と年代の関係を示したものです。(1) このプレートが動く速さは年に何 cm ですか。(2) 海嶺の西側のプレートも同じ速さで西へ動くとき、両側のプレートの間は年に何 cm ずつ広がりますか。

図3 海嶺からの距離と海底の年代の関係を表す直線のグラフ
  1. グラフから読みやすい点を 1 つ選びます。図3の赤い点は、1200 万年前に海嶺でできた岩石がいま 600 km の位置にあることを示します。原点を通る直線なので、どの点を選んでも同じ速さが出ます。
  2. 距離を cm に直します。1 km は 10 万 cm なので、600 km は 6000 万 cm です。問われている単位に先にそろえておくと、けた数を間違えません。
  3. 距離を時間で割ります。6000 万 cm ÷ 1200 万年 = 年に 5 cm です。万どうしは約分できるので、6000 ÷ 1200 の計算ですみます。
  4. 両側の広がりを考えます。東へ年に 5 cm、西へ年に 5 cm 動くので、間は 5 + 5 = 10 より年に 10 cm 広がります。2 枚の動きの差を聞かれているので、片側の速さのまま答えないようにします。

計算の近道として、距離(km)÷ 年代(万年)× 10 で年に何 cm かが求められます。この問題では 600 ÷ 1200 × 10 = 5 となり、手順 3 の答えと一致します。

答え: (1) 年に 5 cm、(2) 年に 10 cm

例題4 論述

ヒマラヤ山脈と日本列島は、どちらも収束境界の近くにあります。日本列島には火山が多いのに、ヒマラヤ山脈には火山がほとんどありません。この違いの理由を、80 字程度で説明してください。

  1. 共通点を確認します。どちらも収束境界なので、「収束境界だから」は理由になりません。比べる問題では、同じ部分を先に消すと違いだけが残ります。
  2. 違いを 1 語で立てます。日本列島は沈み込み、ヒマラヤは衝突です。この 2 語が答案の骨組みになります。
  3. マグマができるまでをつなぎます。沈み込むプレートから水が放出され、マントルが融けやすくなってマグマができます。火山の有無を問われているので、地形の名前で終わらせず、マグマまで書きます。

答え: 日本列島では海洋プレートが沈み込み、放出された水でマントルが融けてマグマができるが、ヒマラヤは大陸どうしの衝突で海洋プレートの沈み込みがなく、マグマができにくいため。

まちがえやすいところと直し方

誤り1 プレートを地殻と同じものとし、マントルを液体と考える

誤り2 収束境界ならどこでも海溝と火山があると考える

図4 海洋プレートの沈み込みと大陸どうしの衝突を並べて比べた断面

誤り3 沈む側と震源の深くなる向きを逆にする

用語のまとめ

用語 意味
プレート 地殻とマントル最上部からなる硬い板。厚さ約 100 km で、十数枚ある
リソスフェア 硬さで分けたときの表層の硬い部分。プレートにあたる
アセノスフェア リソスフェアの下のやわらかい部分。固体だがゆっくり流動する
海洋プレート 薄い海洋地殻をのせた密度の大きいプレート。海嶺で生まれ、海溝で沈み込む
大陸プレート 厚く軽い大陸地殻をのせたプレート。沈み込みにくい
発散境界 2 枚の間が広がる境界。広がる境界ともいう
海嶺 海底に連なる大山脈。新しい海洋プレートが生まれる
地溝帯 大陸が引っ張られて裂け、落ち込んだ地形
収束境界 2 枚の間が縮まる境界。せばまる境界ともいい、沈み込みと衝突がある
海溝 海洋プレートが沈み込む、水深約 6000 m をこえる溝
トラフ 海溝より浅い溝状の地形。南海トラフが例
衝突帯 大陸どうしが押し合う場所。大山脈ができ、火山はほとんどない
すれ違う境界 2 枚が水平に逆向きへずれる境界
トランスフォーム断層 海嶺と海嶺の間をつなぐ、すれ違う境界の横ずれ断層
火山前線 沈み込み帯の火山の列の海溝側の縁。海溝にほぼ平行に続く
深発地震面 沈み込むプレートに沿って傾いた、震源の集まる面

練習問題

練習1 次の文の空欄に入る語を答えてください。「海洋プレートは(ア)で生まれ、冷えて密度が大きくなりながら移動し、(イ)で沈み込む。2 枚が水平に逆向きへずれる境界の代表は(ウ)で、そこではプレートは生まれも消えもしない」。

練習2 ある境界の西側のプレート A は東へ年に 7 cm、東側のプレート B も東へ年に 3 cm 動いています。この境界の種類を答え、2 枚の間が年に何 cm 変化するかを答えてください。

練習3 年に 8 cm で動く海洋プレートがあります。海嶺でできた岩石が、海嶺から 6000 km 離れた海溝に着くのは何年後ですか。

練習4 次の文のうち、誤りを含むものを 1 つ選び、正しい文に直してください。(a) 海嶺で起こる地震は浅いものが多い。(b) トランスフォーム断層の付近では火山活動が活発である。(c) 沈み込み帯の震源は海溝から陸側へ向かって深くなる。(d) 大陸どうしが衝突する場所には大山脈ができる。

答えと解説

練習1の答えは、ア 海嶺、イ 海溝、ウ トランスフォーム断層です。生まれる場所と消える場所を組にして覚えると、アとイを入れ替えずにすみます。

練習2の答えは、収束境界で、年に 4 cm 縮まるです。どちらも東へ動いていますが、西側の A のほうが速いので、7 − 3 = 4 より間が縮まります。向きが同じでも差で判断することが、この問題のねらいです。

練習3の答えは、7500 万年後です。6000 km は 6 億 cm なので、6 億 ÷ 8 = 7500 万となります。海底の岩石に約 2 億年より古いものがほとんど見つからないのは、海洋プレートがこのようにいずれ沈み込むためです。

練習4の答えは (b) で、正しくは「トランスフォーム断層の付近では、火山活動はほとんどなく、浅い地震が起こる」となります。プレートが生まれも沈みもしないので、マグマができるきっかけがありません。

次の単元へのつながりと確かめ方

ここで描いた矢印は、次の単元で海底の年代や大陸の動きの証拠を読むときの前提になります。さらに、地震の単元では震源の深さの分布に、火山の単元ではマグマのでき方に、日本列島の単元では海溝と火山の並びに、そのまま使います。

寝る前の 5 分でできる確かめを 2 つ置きます。1 つ目は、白紙に矢印を 3 組描き、それぞれの横に地形の名前、地震の深さ、火山の有無を 30 秒で書くことです。2 つ目は、世界地図を開いてヒマラヤ山脈、日本海溝、アイスランドを指で押さえ、2 枚の矢印を声に出して説明することです。

個別指導で確かめるときは、境界の語句からではなく、地殻とリソスフェアの区別まで戻ります。お子さまが「プレートは何でできた板か」を図なしで言えるかを確かめてから、矢印の練習に進みます。

まとめ

2 枚のプレートの間で起きることは、離れる、近づく、すれ違うの 3 つしかありません。年に爪が伸びるほどしか動かない板が、海底に山脈を築き、深い溝を刻み、大陸を押し上げて世界で最も高い山々を立たせました。次に電車の窓で隣の車両が動き出したら、語句を唱える前に指で 2 本の矢印を描いてみてください。海溝もヒマラヤも、2 本の矢印の向きが地表に残した筆跡です。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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