総合型選抜データベース / 連載「総合型選抜を数字で考える」

面接は設計しだい

「面接があるから総合型選抜は楽」という理解は、研究と正反対です。 面接には予測力のある形式とない形式があり、差は構造化されているかどうかで決まります。

1. 複数場面面接(MMI)は、その後の実務能力を予測する

MMI(Multiple Mini-Interview)は、短い面接ブースを複数回まわり、 場面ごとに異なる課題へ対応させる形式です。医療系の選抜で広く使われ、追跡研究が蓄積しています。

2. 非構造化面接は、そうではない

同じ「面接」でも中身が違う

従来型の非構造化面接は、信頼性が低く、性別や学業成績による偏りを受けやすく、 予測力も構造化面接より弱いことが繰り返し示されています(Lin ほか, 2022/Jerant ほか, 2019)。 系統的レビューは、MMIは信頼でき偏りが少なく臨床・学業成績を予測するのに対し、 非構造化面接には強い証拠基盤がないと結論づけています(Lin ほか, 2022)。

3. 予測できないものもある

MMIも万能ではありません。MMIも従来型面接も、USMLE Step 1(知識試験)の成績は予測しませんでした (Jerant ほか, 2019)。単一施設の研究では、MMIの得点とOSCEの成績に有意な関連が出なかった例もあります (Kennedy ほか, 2020/Adam ほか, 2024)。BEMEの系統的レビューは、 MMIについては「予測妥当性」より「表面妥当性」のほうが証拠が強いと指摘し、 複数施設での長期追跡を求めています(Rees ほか, 2016)。

整理するとこうなります。面接は、知識を測る道具としては弱く、 コミュニケーション・倫理的判断・圧力下での遂行を測る道具としては機能する。 MMIとOSCEがよく相関するのは、両者が同じ構成概念を測っているからだと説明されています(Husbands & Dowell, 2013)。

4. 受験生にとっての含意

総合型選抜の面接で問われているのは「人当たりの良さ」ではありません。 研究が予測力を確認しているのは、場面が変わっても一定の質で応答できるかという部分です。 だからこそ複数の場面を用意する設計(MMI)に予測力が出ます。

日本の総合型選抜でも、東京外国語大学の学校推薦型選抜は「小論文および面接」を課し、 専修大学 国際コミュニケーション学部は「課題図書に基づく講義を受講したうえで小論文、続いて講義を踏まえた質疑による面接」を行います。 明治大学 文学部は第二次選考で「小論文と口頭試問」を課します。 いずれもその場で与えられた素材に反応させる構造になっており、 事前に用意した自己紹介の巧拙を見る設計ではありません。

この記事の出典

Reiter ほか (2007)MMIはOSCE・臨床実習評価・国家試験の臨床判断の最良の予測因子
Eva ほか (2012)MMI選抜の合格者はカナダ国家試験で有意に高得点
Jerant ほか (2019)カリフォルニア5校。MMIは臨床実習・Step 2 CKを予測、Step 1は予測せず
Cameron ほか (2017)薬学部。MMIのみが薬剤師OSCEと実習成績を予測
Lin ほか (2022)系統的レビュー。MMIは信頼でき偏りが少ない/非構造化面接は証拠基盤が弱い
Husbands & Dowell (2013)MMIは2コホートで一貫した予測因子。UKCAT等は予測力がほぼなし
Callwood ほか (2019)看護・助産。MMIは修了時の臨床実践を予測するが学業成績は予測しない
Rees ほか (2016)BEME系統的レビュー。表面妥当性の証拠のほうが予測妥当性より強い
Macintosh ほか (2026)状況判断テストと対人・専門職成果の統合相関 z=0.22(構成概念が一致すると z=0.32)

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この記事は、査読つきの学術論文を根拠に書いています。出典は各節に著者名と発表年で示しました。論文の結論が割れている論点は「割れている」と書いています。
作成:武蔵野個別指導塾(2026年09月14日)

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